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畜産環境研究開発事業 研究開発事業概要
その他(外部機関から委託を受けて実施した研究開発)

畜舎への発酵微生物の応用と飼育環境への有効性評価(平成20~22年度)

目的

酪農では乳房炎による経済的損失が問題となっている。好気性超高熱発酵菌は有酸素状態で発酵する(114℃)ため、熱と活性酸素、活性酸化窒素、酸化塩素等を介して非常に高い殺菌効果を有する。また、発酵生成物(超高熱発酵菌堆肥)も殺菌作用をもつ可能性が高いと考えられる。

そこで、超高熱発酵菌堆肥による乳房炎防除の可能性を探るため、室内実験および実際の牛房における試験を行い、超高熱発酵菌堆肥の殺菌効果を明らかにした。

成果の内容

牛ふん及びオガクズを混合して30℃で培養する牛床を模した室内実験において、超高熱発酵菌堆肥の混合が大腸菌群数を抑制したことから、抗菌作用があることを明らかにすることができた。また、実際の牛房においても、超高熱発酵菌堆肥の混合が大腸菌群数を抑制することを実証した。

次に、乳房炎患部から分離された原因菌4菌株を用い、堆肥抽出物、堆肥滅菌物、堆肥現物、堆肥から分離した菌株による抗菌試験を行った結果、いずれも効果が見られなかったことから、抗生物質のような強い抗菌作用ではなく、微生物間の競合作用などによる温和な抗菌作用であると考えられた。

抗菌の作用機作を明確にするには至らなかったが、敷料における家畜ふんの分解を妨げることなく、非常に幅広い菌種に対して抗菌作用を示すことから、超高熱発酵菌堆肥が敷料における乳房炎防除に適した資材であることを示すことができた。

当機構は、レギュラトリーサイエンス新技術開発事業のうち東京大学を中核機関とした「糞尿媒介感染症統御のための処理技術の実用化と先進的衛生管理法」の一部を受託して実施した

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